内科で受けるレントゲン検査の基礎知識とその役割

レントゲン検査とは

レントゲン検査はX線検査とも呼ばれるもので、放射線の一種であるX線を用いて体内の様子を画像にする検査です。X線を発見したヴィルヘルム・コンラート・レントゲン博士にちなんで、レントゲン検査と呼ばれています。

X線は体内の構造物である水、骨、筋肉、臓器などの通りやすさに差があり、それを利用して画像を作り出します。X線をよく通すもの(空気を含む肺など)は黒く、X線を通さないもの(骨、水など)は白く写ります。

レントゲン検査はクリニックや健診でもよく用いられます。CTやMRIと比較して短時間で被曝量も少ないことから、初めの検査として用いられることが多いです。胸、腹部、手足など多くの部位で撮影が可能なこともレントゲン検査の強みです。

この記事をご覧の方の中には、レントゲン検査での大きな写真を見たことがある方もいるかもしれません。最近では画像をデータ化している医療機関も多くあり、モニターに映して読影します。他の医療機関に紹介する際には、CDにデータを入れて持参してもらいます。

レントゲン検査でどんな病気がわかる?

レントゲン検査は、撮影する部位により病気や怪我がわかります。内科で行われるレントゲン検査で多い部位は胸とお腹です。

胸のレントゲン検査は咳・痰、呼吸が苦しい、胸痛などの症状があるときに行われます。肺炎、胸部の腫瘍、心不全、気胸、異物(レントゲンに写る物)などの病気がわかります。

お腹のレントゲン検査の対象となる症状は腹痛、下痢、便秘、嘔吐などです。腸閉塞、便秘の程度、胃や腸の拡張、異物などがわかります。一部の結石や、消化管の穿孔もわかることがあります。

レントゲン検査は診断だけでなく病気の経過を追うのにも用いられます。また、レントゲン検査ですべての病気が分かるわけではありませんが、全体の状況を把握することができ、必要時には次の検査(血液検査やCT、MRIなど)につなげることができます。

レントゲン検査の注意点

レントゲン検査では放射線を使用するので、どうしても被曝してしまいます。被曝量は人体に影響が出るとされる量より遙かに少ない線量ですので、レントゲン検査を数回受けたからといって体にすぐに悪影響が出ることはありません。妊娠の可能性がある場合は別の検査を行ったり、レントゲン検査を行う場合でも腹部の保護をしたりといった配慮が必要ですので、必ず医師に伝えるようにしましょう。

また、レントゲン検査の質を高めるために、身につけているものを外す必要があります。撮影部位の湿布やシール、ネックレスなどのアクセサリーは外しましょう。胸のレントゲンを撮る際には、プリントの多い服やボタンのついた服は脱ぐ必要があり、特に女性の場合、金属ワイヤーのある下着も外してもらう必要があります。健診でレントゲンを撮ることがわかっている場合は、無地のTシャツやワイヤーのない下着を着ていくとよいでしょう。迷う際は病院のスタッフに伝えてください。

レントゲン検査はカメラのように撮影をします。体が動いてしまうと鮮明な画像が得られないので、撮影の瞬間は体をピタッと静止しましょう。特に胸のレントゲン検査では息止めが重要になりますので、声かけに応じて大きく息を吸い込んで、頑張ってそこで息を止めましょう。痛みでその姿勢を保てない場合はクッションなどでの工夫もできるので、遠慮なくスタッフに伝えてみてください。

さいごに

この記事では内科の診療でどのようなときにレントゲン検査を行うのか、レントゲン検査によりどのようなことが分かるのかについて解説しました。レントゲン検査は最も多く行われている検査の1つです。問診や体の診察では分からないことを評価できるので、異常がないかの判別や、今後の治療選択にも活用されます。しかし、健康を害する程度ではないといっても被爆などのデメリットもありますので、不安に感じた場合には担当の先生に確認するのもよいでしょう。