熱中症の対策は水分補給だけでOK?
水分と一緒に塩分も補給しましょう
熱中症を予防するには、水分だけでなく塩分も必要です。汗にはナトリウム(塩分)が含まれているため、汗をかくと体内の水分だけでなくナトリウムも減少します。そのため汗をたくさんかいた後に水分だけ補給すると、体内の水分が増えるのに伴い、ナトリウムの濃度が低下した状態になってしまいます。私たちの体には体液の濃度を一定に保つ働きが備わっているため、お水を飲みたいという欲求を低下させたり、排尿を増やしたりして、ナトリウム濃度の低下を防ごうとします。その結果、体内の水分が不足し、熱中症になる恐れがあるため注意しましょう。水分と塩分補給は、こまめに行うことが大切です。のどが渇いてから飲むのではなく、のどが渇く前に飲むことを心がけましょう。
水分・塩分補給におすすめの食べ物、飲み物
水分・塩分が補給できる飲み物
経口補水液
ナトリウムだけでなく、ブドウ糖やミネラルなどが配合された飲み物。体液に近い浸透圧なので、吸収率が高く吸収速度も速くなっています。
スポーツドリンク
塩分や糖分、ミネラルなどが含まれた清涼飲料水で、エネルギーの補給にも効果的です。ブドウ糖と果糖が入っているものだと、水分の吸収が早くなります。
手作りドリンク
お水1ℓに食塩1~2gを入れて、食塩水を手作りすることができます。レモンの果汁やはちみつなどをプラスするのもおすすめです。
お水と一緒に食べるといいもの
塩タブレット・塩飴
手軽に塩分補給できて、携帯にも便利です。直接口に含んで摂取したり、お水に溶かして摂取したりすることができます。
梅干し・塩昆布・漬物
ミネラルを補給できる食べ物を、お水と一緒に摂るのもおすすめです。暑い日には、傷まないよう保存に注意しましょう。
糖分や塩分の摂りすぎにも注意
糖分を摂りすぎると
スポーツドリンクやジュースなどの清涼飲料水には糖分が含まれているため、糖分の摂り過ぎに注意しましょう。糖分を摂りすぎると、肥満や糖尿病など生活習慣病にかかるリスクが高くなります。また、清涼飲料水を飲み過ぎると「ペットボトル症候群」になる恐れがあるため注意しましょう。ペットボトル症候群になると血液中の糖とケトン体が過剰に増え、口喝や倦怠感、腹痛や吐き気などが起こります。重症になると、意識が低下して昏睡状態になる危険があるといわれています。
塩分を摂りすぎると
塩分は熱中症予防に欠かせないものですが、摂りすぎると体に悪影響を与えてしまうため注意しましょう。1日当たりの塩分摂取量は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満が望ましいとされています。
塩分を過剰に摂ると、血液中のナトリウム濃度が高くなります。すると体はナトリウム濃度を下げるため、血液量を増やします。その結果、増えた血液が血管壁や心臓の負担となり、高血圧になってしまいます。口喝やむくみなども起こりやすくなります。また、胃がんや食道がんのリスクも高くなるといわれているため注意しましょう。
水分の摂りすぎにも要注意
熱中症予防のためと大量のお水を飲んでも、全てが体に吸収されるわけではありません。吸収できない分は、尿として排泄されてしまいます。また、一気に多くのお水を飲むと、体の電解質のバランスが崩れ、体に悪影響を与える恐れがあるため注意しましょう。水分補給は、少しずつこまめに飲むことが大切です。
さいごに
こまめな水分補給は、熱中症予防に欠かせません。スポーツなどで汗をかいたときには、水分だけでなく塩分も補給しましょう。1時間以上スポーツや肉体労働などをする場合には、糖分も合わせて摂るのがおすすめです。ただし、塩分や糖分の摂り過ぎは体に悪影響を与えてしまうため、注意が必要です。
軽い熱中症の症状があっても意識がしっかりしている場合には、適切な水分と塩分補給をし、涼しい場所で安静にすることで、症状が落ち着くことが多いといわれています。意識がもうろうとしている場合には、至急医療機関での治療が必要です。体に違和感があるとき、心配なときには、医療機関を受診することをおすすめします。治療中の疾患がある場合には、水分補給や塩分補給について主治医に相談しましょう。