卵アレルギーの原因
卵アレルギーは卵黄ではなく卵白で起こる
卵アレルギーを起こす主な原因となっているのは、卵白です。卵は卵黄と卵白に分かれていますが、卵黄よりも卵白の方が卵アレルギーを起こしやすくなっています。卵白は、加工食品にも多く使われているため注意が必要です。卵を高温で長時間加熱することで、アレルギーを起こす確率を下げることができるといわれています。
子供は消化器が未熟なため起こりやすい
子供に卵アレルギーが多いのは、消化器が未熟なためです。子供の腸粘膜は大人よりアレルゲンを通しやすいため、卵アレルギーを起こしやすくなっています。卵アレルギーは新生児~小学校入学前までの子供に多いアレルギーですが、成長とともに消化器も発達するため、卵アレルギーの症状を改善できることも多くなっています。
遺伝も関係する可能性がある
卵アレルギーの発症には、遺伝が関与すると考えられています。父親か母親がアレルギー体質の場合、その子供もアレルギーを起こす可能性が通常より高くなるといわれています。
卵アレルギーの症状
主な症状は皮膚症状
卵アレルギーを起こした子供の多くに、次のような皮膚症状が現れます。
- 卵を食べたすぐ後に蕁麻疹が出る
- 卵を食べた30分~2時間の間に、皮膚が盛り上がったような発疹が出る
- 目の周囲、口の周囲、頬が赤く腫れる
- 皮膚が痒くなる
その他の症状と現れ方
皮膚症状以外には、次のような症状が現れることがあります。
- 眼の充血
- 鼻水、鼻づまり
- くしゃみ
- 咳
- のどの違和感
- 吐き気、嘔吐
- 腹痛
- 下痢、血便
卵アレルギーの症状の現れ方や程度には個人差があり、ひとつの症状だけの場合もあれば、複数の症状が現れる場合もあります。卵アレルギーが心配される症状が現れたら、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
重篤な症状に注意
卵アレルギーの症状には、命に関わるような重い症状のものもあります。
- 喘鳴(呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューいう)
- 息が苦しく呼吸困難になっている
- 血圧低下
- 反応が悪く意識がもうろうとしている
- ぐったりして動けなくなる
次のような症状がある場合には、アナフィラキシーショックを起こしている可能性があります。すぐに救急車を呼んで、早急に治療してもらいましょう。
卵アレルギーの治療法
卵アレルギーの診断
卵アレルギーかどうかを診断するためには、卵アレルギーの検査を行います。検査方法には、食物負荷試験、食物除去試験、血液検査、パッチテストなどあります。また、食べた内容、症状の現れ方なども診断の参考となるため、何をどれくらい食べたのか、食べた時間、食後どれくらいでどのような症状が現れたのか、症状が治まるまでにかかった時間などの情報を、できるだけ正確に医師に伝えるようにしましょう。
除去食療法
卵アレルギーの治療では、必要最低限の卵を除去する除去食療法を行います。卵アレルギーの程度に合わせて、摂取量、調理方法、卵を加熱する温度と時間を専門医が決定し、子供の様子を見ながら摂取していきます。除去食療法は継続して行い、少しずつ摂取できる量を増やしていきます。微量の卵でアナフィラキシーショックなどを起こす場合には、食生活から卵を完全に除去する場合もあります。
治療の注意点
卵アレルギーの治療は、必ず医師の指導のもと行いましょう。卵アレルギーのある子供に、自己判断で卵を食べさせるのは危険です。また、卵アレルギーの子供でも適切な治療を行うことで、年齢とともに卵を食べられるようになることが多くなっています。子供の健康のためにも、医療機関で治療を行いましょう。
まとめ
卵アレルギーは子供に多い食物アレルギーです。卵を食べた2時間以内に症状が現れることが多く、症状の現れ方や程度には個人差があります。蕁麻疹、皮膚の発赤・腫れ・かゆみなどの皮膚症状、鼻水・眼の充血などの粘膜症状、腹痛・嘔吐などの消化器症状、咳・のどの違和感などの呼吸器症状と症状はさまざまです。呼吸困難、意識消失など重篤な症状の現れるアナフィラキシーショックを起こすこともあるため、注意しましょう。卵アレルギーが心配される場合には、医療機関で検査を行い、医師の指導のもと必要最低限の卵を除去する除去食療法を行うことが大切です。適切な治療を行うことで、3歳ごろまでには50%、6歳ごろまでには80~90%の子供が治るといわれています。