糖尿病に対する運動は強度・頻度・時間帯が大切!効果的な運動法について

  • 2023年1月25日
  • 2023年1月27日
  • 糖尿病

糖尿病に対する運動の効果

糖尿病における運動療法の目的は、健康寿命を延ばすことです。他の治療と併せて運動療法を行えば合併症も抑えられ、糖尿病ではない人と同等の健康寿命を保つことも可能です。具体的な運動の効果については以下になります。

血糖の上昇を抑える

運動をするとエネルギーとして糖質が消費され、更に血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれるため血糖値が下がります。血糖コントロールが良好だと血管への負担が減り、網膜症や腎症など糖尿病合併症の予防につながります。

インスリンの効きが良くなる

2型糖尿病や糖尿病予備軍の方は、内臓脂肪などの蓄積によりインスリンが効きづらい状態になっています。これをインスリン抵抗性と言います。運動を継続するとインスリン抵抗性が改善し、インスリンの効きが良くなります。

他の生活習慣病の改善

高血圧や脂質異常症は、糖尿病と同じく動脈硬化の原因になります。運動で内臓脂肪が減少すると、これらの疾患も同時に改善され病気の予防につながります。

なお1型糖尿病に対する運動療法の効果について、統一した見解は得られていません。しかし、適切な運動は心血管疾患を抑え生活の質を上げると言われています。

どんな運動が効果的なのか

糖尿病では、有酸素運動を中心に、筋肉トレーニングも組み合わせて行うと効果的と言われています。

有酸素運動

軽~中等度で長い時間続けられる運動を有酸素運動と言います。例としてウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどがあります。有酸素運動は、脂質代謝の改善、血圧の低下、心肺機能を上げる効果があります。また、悪玉ホルモンを分泌する内臓脂肪を減少させるため、インスリン抵抗性が改善し血糖値が安定します。そのため、糖尿病の運動療法では有酸素運動が推奨されています。

筋力トレーニング

短時間で筋肉に一定以上の負荷をかける運動を筋力トレーニングと言います。筋トレは負荷が強すぎると血糖値や血圧が上昇してしまうので慎重に行います。糖尿病では、スクワットやダンベル運動など、軽い負荷で繰り返し筋トレを行うレジスタンス運動がおすすめです。

運動をする際のポイント

糖尿病の方は、医師と相談してから運動療法を開始しましょう。血糖が高すぎる、網膜症による眼底出血がある、腎機能が落ちているなど、運動療法を見合わせた方がよい場合もあるからです。また、運動には効果的な強さ、頻度、時間帯があります。

運動の強さ

有酸素運動は、うっすらと汗をかく「中等度」の強度で行います。具体的には心拍数が1分間に100~120に収まる程度です。50歳以上では心拍数が100以内に収まるようにします。筋トレはダンベル運動やスクワットなどを1セット10回~15回、3セット繰り返せる程度の負荷で行います。

運動の頻度

有酸素運動は1日1万歩を目安に行います。ウォーキングの場合は、1回20分~30分程度を1日2回が理想です。できれば毎日、無理なら週に3日程度でも構いませんが、1週間で合計150分間になるよう行います。筋トレは無理のない範囲で週に2~3回行うといいでしょう。

運動の時間帯

起床後すぐの運動は血圧や血糖が上がりやすいので、やめておきましょう。糖尿病の方は食後に行うと血糖値の上昇を抑えられます。ただしインスリン治療をしている方は、運動で血糖値が下がりすぎる場合があるので医師と相談しながら行ってください。まとまった時間が取れない、食後に運動が出来ないなどの場合は、日常生活でなるべく動くことを心がけましょう。

まとめ

糖尿病の運動療法は長く続けることが大切です。そのためには各自のライフスタイルに合った運動を行いましょう。いきなりハードな運動をするのではなく、軽い運動から開始して、徐々に時間や強度を増やしていくのが長続きの秘訣です。真夏や真冬など体に負担がかかる季節や、体調が悪いときには無理をしないでください。そのような時は、血糖値も観察しながら、短めの運動で切り上げるようにしましょう。