ぶどう膜炎の後遺症として現れる合併症の種類
ぶどう膜炎は失明や視野低下などの後遺症が現れることがありますが、これは緑内障や白内障、網膜剥離などさまざまな合併症によって引き起こされます。ここでは代表的な5つの合併症について解説します。
緑内障(りょくないしょう)
ぶどう膜炎にかかると眼圧が高くなって緑内障を発症しやすくなります。眼圧が高くても目のかすみや痛み、頭痛などの自覚症状がないことも多く、視野が狭くなって視力が低下し、ついには失明することもあります。一般的には点眼薬で眼圧を下げる治療を行います。
白内障(はくないしょう)
年を重ねると水晶体が濁って視力低下が起こりますが、数年単位で慢性化するぶどう膜炎でも長期的な炎症によって白内障を発症します。濁った水晶体を取り除いて眼内レンズを挿入する手術が主流ですが、炎症や白内障の進行具合などによって治療法や回復の程度が異なります。
虹彩後癒着(こうさいこうゆちゃく)
虹彩後癒着とは、眼内の炎症に伴って分泌された滲出液(しんしゅつえき)により虹彩が水晶体にくっついてしまうものです。癒着の範囲が広がると、眼圧が上昇して緑内障や瞳孔変形のリスクが高まります。治療は散瞳薬の点眼や注射、手術などで癒着を剥がす方法になります。
黄斑(おうはん)の浮腫
眼の中で炎症が長引くと、網膜の中でも視力の中心的機能をもつ黄斑にむくみが生じて視力低下が起こります。さらに黄斑に水が溜まって嚢胞様黄斑浮腫(のうほうようおうはんふしゅ)へと進行していきますが、早期に炎症が落ち着けば網膜の機能はほぼ回復できます。もし放置してしまうと、回復できなくなって視力がかなり低下してしまいます。
網膜の障害
ぶどう膜炎を発症して数年経過すると網膜や硝子体のなかに線維の塊やひも状の繊維ができ、収縮する過程で網膜を引っ張って変形させてしまい正常に機能しなくなります。とくに黄斑の上に線維膜が形成されると、物が歪んで見えることもあり、手術で取り除く必要があります。
なぜ後遺症が残りやすいのか?知っておきたいぶどう膜炎の特徴
ぶどう膜炎はいつの間にか進行していき、失明などの後遺症が残るリスクがある目の病気です。「ぶどう膜」はあまり聞き慣れないかも知れませんが、眼の組織の中では血管が多く、炎症を繰り返しやすい性質があります。
炎症が起こる原因は感染症だけでなく、サルコイドーシスのように全身疾患によるものや原因不明なものも多いです。初期では目の充血や痛み、まぶしさ、かすみなどの自覚症状が乏しく、視野障害や視力低下に気が付いたときには回復する見込みが少ない状態にまで進行しています。
治療が難しく長期にわたることや、症状が落ち着いていても炎症が残っているケースもあり、薬の誤った使用で合併症や再発を招いてしまうこともあります。
原因となる疾患に適した治療方法で症状に合わせて薬の量も調整しているため、自己判断で増減・中断せず医師の指示に従って治療を続けましょう。
後遺症を最小限に抑える・悪化を防ぐための治療
ぶどう膜炎の炎症が強いと合併症が引き起こされて元に戻らなくなる恐れがあるため、手術による治療を行うことになります。そうならないためにも、炎症を抑える力が強いステロイドを使った治療で後遺症の進行を抑えることが大切です。
感染症が原因のぶどう膜炎には、抗菌薬とステロイド薬の点眼を組み合わせる治療が一般的ですが、全身性の疾患や炎症の位置によっては注射や内服、点滴でも投与されます。
ぶどう膜炎の種類や病状によって使用薬剤は異なりますが、多くは抗炎症剤を選択します。免疫抑制剤や生物製剤を使った新しい治療方法が用いられることもあり、眼だけではなく全身状態も合わせてみていくことで後遺症の悪化を防げるでしょう。
さいごに
ぶどう膜炎はあまり聞き慣れない病気かもしれませんが、視力低下や失明など重大な後遺症が残りやすい病気です。初期症状が見過ごされやすく、治療そのものが難しい病気が隠れているケースも多いのが特徴です。長期にわたって炎症が続くことで、いつの間にか合併症を発症し、後遺症の引き金となってしまう可能性があります。
ぶどう膜炎で後遺症を起こさないためには、病状や原因となる疾患に合わせた治療方法を選択・継続することです。目のかすみや眼痛を感じたら、放置せずに早めに治療を始めましょう。