白内障とは
白内障とは、目の構造のうちレンズの役割を果たしている水晶体が濁ることで、視力が徐々に低下する病気です。水晶体は本来無色透明なレンズですが、加齢を中心として、様々な原因で白く濁ってしまいます。レンズが濁ることでピントを調節することも難しくなり、ものが見えにくくなっていきます。
白内障は非常に一般的な病気で、50代で40 ~ 50 %程度、80代ではほとんどの方に白内障の症状がみられます。
白内障の自覚症状
白内障の自覚症状には次のようなものがあります。
霧視(ものがぼやけて見える、かすみ目)
水晶体が濁ることで光がクリアに通らないため、はっきりと見えず、焦点が合わないことにより、曇ったレンズで写真を撮影したときのように視界がぼやけてしまいます。
視力低下(眼鏡やコンタクトレンズが合わないと感じるようになる)
白内障が進行するにつれ、水晶体の厚みが変化することがあります。水晶体の厚みはピント調節に重要な役割を果たしているため、視力低下につながります。
眼精疲労(疲れ目)
水晶体の厚みは、これを支える毛様体筋という筋肉によって調整されています。
白内障が進行すると濁るだけでなく、水晶体は変性し、硬くなっていきます。
硬くなった水晶体の厚みを変化させようとすることで筋肉が疲労し、疲れ目を自覚することがあります。
羞明(光に対して眩しく感じやすい)
濁った水晶体では、光が直進できずに散乱してしまいます。この光の散乱の影響で、より眩しく感じてしまいます。夜間に自覚されやすく、運転に支障をきたすこともあります。
複視(ものが二重、三重に見える)
水晶体の濁り方によって、光の進み方が変化するため、ものが重なって見えることがあります。
日中と夜間で見え方が異なる
白内障はその原因によって進行が異なります。一般的な加齢性の白内障の場合、水晶体の周辺から変化が起こります。目には、しぼりの機能を果たす構造として瞳孔があります。
日中は、夜間に比べて光が多く瞳孔が小さくなるため、主にレンズの中央を使っていて症状を自覚しにくい状態となります。
一方、夜間に光量が小さくなると瞳孔が拡大し、水晶体の周辺も使われるため症状を自覚することがあります。
具体的には、夜間に羞明や、複視などの症状が出ることがあります。
上記の症状をみると、白内障の発症を自覚するのは難しくないようですが、徐々に症状が進行すること、痛みなどがないことから思いの外気付きにくいのが特徴です。
上記の症状に心当たりがあれば眼科を受診してみましょう。
白内障を予防するには?
白内障は、主に加齢が原因となって発症し、80歳以上ではほとんどの人が罹患する病気です。
しかし、生活習慣等による影響も指摘されており、下記のことに気をつけることが、予防・進行抑制につながると考えられます。
- 禁煙、禁酒
- 糖尿病などの生活習慣病にならないよう健康的な生活を心がける(運動習慣、食習慣)
- 紫外線やブルーライトから目を防護する(サングラス、UVカット眼鏡の着用)
- 目を物理的に傷つけないこと
- 白内障予防に効果的な栄養素(ビタミンC、β-カロチン、ルテイン、ゼアキサンチン)の摂取
このように目のダメージになることを避けることが中心です。
また、厳密には予防とはいえませんが、白内障の初期の段階で受診することができた場合には、点眼薬を使用することで進行を遅らせることができます。
さいごに
白内障は非常に一般的な病気で、年を重ねることで誰しもが経験するものです。
目の症状は不快感があるものです。しかし一方で、徐々に進行するため症状に気付きにくいケースや、加齢に伴う変化ということで受け入れてしまい、受診を控えてしまうケースもあります。
今回ご紹介した症状に思い当たる場合には一度眼科を受診してみましょう。
早い段階で受診することができれば進行を遅らせることができるほか、良いタイミングで手術をすることもできます。
最近では、白内障手術は日帰り手術が多くなり、非常に身近なものになってきています。
不安なく日常を過ごすことができるよう、大切な目をケアしていきましょう。