アルコールと動脈硬化の関連性
お酒は百薬の長などと言われるように、健康に良い影響を与えると言われています。しかし、実はアルコールの過剰摂取には、動脈硬化のリスクを高める危険性があります。なぜ動脈硬化の危険性が上がってしまうのでしょうか。
血圧の上昇
アルコールを飲むと、アルコールが分解されてできたアセトアルデヒドが血管を拡張させ、血圧が下がります。しかしそれは一時的な効果に過ぎません。
アルコールは血管を収縮させる作用もあります。飲酒するとアルコールが分解される過程で血圧を上昇させるホルモンが増えたり、交感神経が活性化されたりすることで血圧が上昇します。
アルコールを長期間にわたって飲み続けると血管に圧がかかり続け、血管が老化します。すると血管の壁が硬くなり、動脈硬化が進行します。
中性脂肪の上昇
アルコールを摂取すると、中性脂肪が高くなります。
アルコールは、肝臓に運ばれてアセトアルデヒドと水素に分解されます。アセトアルデヒドは脂肪の分解を抑え、中性脂肪の合成を促進する働きがあります。
中性脂肪が多くなると、肝臓から血液中に漏れ出て、血管の壁に徐々に蓄積します。すると血管の壁が硬くなり、動脈硬化が進行します。
アルコールの摂取量と動脈硬化のリスク
アルコールの過剰摂取は動脈硬化のリスクとなるため、適量が大切です。では、どれくらいを目安にしたら良いのでしょうか。
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、1日あたり25g以内のアルコール量に抑えることが推奨されています。
25gのアルコールとは、ビール500mL、ワイン240mL、焼酎1/2合、日本酒1合程度です。
ただし、これはあくまでも目安です。アルコールの影響は個人差が大きいことがわかっています。
年齢を重ねると、同じ飲酒量でも若い頃より影響が強く出ます。また、女性は男性と比較し、アルコールの影響が出やすいことがわかっています。アルコールを分解する酵素が弱いケースもあります。
さらに、体調が悪い日はアルコールの影響を受けやすいとされています。
このように、アルコールの影響は個人差や体調に左右されます。
なお、休肝日を設けるとアルコールの総量を減らすことができます。1日の量の制限に加えて、休肝日を設けて動脈硬化を予防しましょう。
また、お酒のつまみも動脈硬化の原因となります。
つまみは塩分が多いものが一般的です。お酒のつまみに、つい味の濃いものを食べてしまいますが、これは動脈硬化を進行させる一因となるため注意しましょう。
動脈硬化を予防するためのポイント
それでは、動脈硬化を予防するためには、どのようにアルコールと付き合っていけば良いのでしょうか。注意するポイントについて解説します。
飲酒量を把握する
毎日どれくらいのお酒を飲んでいるか、飲酒日記をつけてみましょう。自分の飲酒量や頻度を客観的に確認することができます。
飲酒量を減らす目標を立てる
たとえば、ビールの量を1日1本にするなど、具体的な目標を立てましょう。現実的で達成可能な目標を立てましょう。
つまみの種類に気をつける
お酒のつまみの種類に気をつけることも重要です。塩分の多いものは摂りすぎないようにしましょう。また、揚げ物など油ものばかりになると、中性脂肪が増える原因になるので注意が必要です。
アルコール以外にも、生活習慣を改善すると動脈硬化が予防できます。
食生活の改善
野菜や果物を積極的に摂り、バランスの良い食事を摂りましょう。高血圧の予防のために、塩分は控えましょう。また、カリウムを多く含む食材は、高血圧や動脈硬化の原因となる体内のナトリウムを排出する効果があります。
運動をする
ウォーキングや体操など、息が弾む程度の有酸素運動が効果的です。1週間に2~3日、30~40分程度の運動を行うと動脈硬化の予防に有効です。
さいごに
アルコールと動脈硬化の関係性について解説しました。アルコールの過剰摂取は動脈硬化のリスクが高まり、重篤な疾患を引き起こす可能性があります。
お酒は適量に気をつけ、楽しむようにしましょう。