胃が痛い時の原因と想定される病気とは?受けるべき検査も解説

胃が痛い時に考えられる原因

胃や消化管は、脳と密接に関連しています。連携を担い消化管の働きを調整するのが、自律神経です。自律神経はストレスなど精神面の影響を受けやすいため、胃酸が過剰に分泌されたり、胃粘膜を保護する粘液の分泌が減少したりします。
また、血流が滞ることで胃の粘膜が傷つきやすくなるため、ストレスを受けると胃痛が起こる場合があります。
みぞおち付近の痛みは、ストレス以外にも多くの要因によって引き起こされます。たとえば、食道、胃、十二指腸といった上部消化管や、膵臓や胆のうといった胃の近くにある臓器に由来する場合もあります。心臓や血管が関係しているケースも考えられるでしょう。
原因を明確にして適切な治療をするためには、血液検査や腹部エコー、胃カメラなどの検査が必要です。

想定される病気

胃痛を引き起こす病気はさまざまです。ここでは、想定される主な疾患を解説します。

急性胃炎

急性胃炎は、ストレスや暴飲暴食による自律神経の乱れが原因で発症します。みぞおち付近の突然の痛みや吐き気、胸やけ、胃の膨満感などが主な症状です。ウイルスや細菌の感染によって起こるケースもあります。

慢性胃炎

慢性胃炎は、ピロリ菌感染やストレス、不規則な食生活による胃酸過多が原因で引き起こされます。胃粘膜の損傷が修復しきれず萎縮が進み、胃炎の症状が生じます。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで起こります。胃痛や胸やけ、のどの違和感、酸っぱい液がこみ上げる呑酸などが主な症状です。特に、食後に症状が出やすくなります。

胃・十二指腸潰瘍

慢性的に繰り返される炎症によって胃や十二指腸の粘膜が傷つき、深い傷(潰瘍)を形成します。主な症状は、胃痛やみぞおちの痛み、黒いタール便などです。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、胃痛や胃もたれなどの症状があるにもかかわらず、検査で異常が見つからない場合に診断されます。

アニサキス症

魚介類に寄生するアニサキスという寄生虫を摂取することで、起こります。主な症状は、激しい腹痛や嘔吐などです。

胃がん

胃がんは、初期の場合ほとんど症状がありません。しかし、進行すると胃の不快感やみぞおちの痛み、吐き気、食欲不振などの症状が現れます。

受けるべき検査

胃痛の原因を特定するためには、症状や経緯、既往歴などの問診を受けた上で、適切な検査をすることが重要です。主に以下のような検査が行われます。

胃内視鏡検査(胃カメラ)

胃カメラは、食道、胃、十二指腸の粘膜の状態を直接観察できる検査です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病変を確認したり、必要に応じて組織を採取し病理検査を行ったりすることも可能です。また、出血がある場合は止血処置も行えるため、確定診断だけでなく治療も兼ねる有用な検査といえます。

腹部エコー検査

腹部エコー検査は、肝臓や膵臓、胆のうといった胃周辺の臓器の状態を確認できます。皮膚の表面にジェルを塗り、超音波の発信機を当てることで画像化される体に負担のかからない検査です。

血液検査

血液検査では、炎症や感染の有無、臓器の状態、腫瘍マーカーの有無などを調べます。通常は、腕の静脈から血液を採取します。

検査を組み合わせて胃痛の原因となる疾患を正しく特定することで、適切な治療を行うことが可能です。胃の痛みが続いている場合は、早めに医療機関で検査を受けましょう。

さいごに

胃の痛みは、急性胃炎や慢性胃炎、逆流性食道炎、胃潰瘍、さらには胃がんなど、さまざまな病気のサインである可能性があります。原因を正確に特定し、適切な治療を受けるためには、胃カメラや腹部エコー、血液検査などを受けることが重要です。
胃痛を放置すると、たとえば胃潰瘍が進行し穿孔してしまい、命に関わる状態になることもあります。症状が長引いている場合や悪化している場合などは、早めに消化器内科などの医療機関を受診しましょう。