睡眠時無呼吸症候群を治すことはできる?治療法と注意点

睡眠時無呼吸症候群は睡眠の質が低下するだけでなく、重篤な合併症を引き起こすおそれのある疾患です。症状のある方は、早めに治療しましょう。睡眠時無呼吸症候群の特徴や治療法をご紹介します。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠中に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」

睡眠時無呼吸症候群は、その名の通り睡眠時に呼吸が止まって無呼吸になる病気です。10秒以上呼吸が止まった状態を無呼吸といい、1時間に5回以上無呼吸になると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に何度も無呼吸と覚醒を繰り返すため、眠りの質が低下してしまいます。そのため、日中に強烈な眠気や倦怠感が生じ、日常生活に支障をきたしてしまうため注意しましょう。
無呼吸になると血液中の酸素濃度が低下するため、心臓や血管の負担が大きくなり、高血圧や動脈硬化になりやすくなります。また、狭心症や心筋梗塞、脳卒中など重篤な合併症を起こすリスクが高くなるため注意しましょう。
眠気による重大な事故を防ぎ、重篤な合併症を防ぐためにも、睡眠時無呼吸症候群には適切な治療が必要です。

睡眠時無呼吸症候群の改善には生活習慣の見直しが大切

生活習慣を見直すことで、睡眠時無呼吸症候群の改善に役立てることができます。体重が増えると首まわりにも脂肪がついて気道が塞がりやすくなるため、肥満の場合には減量することをおすすめします。飲酒や喫煙も睡眠時無呼吸症候群を悪化させる原因となってしまうため、睡眠前の飲酒は控えめにし、禁煙するとよいでしょう。自分に合った枕を使用する、横向きに寝るなども効果があるといわれています。
生活習慣を見直すことで症状が改善されることもありますが、十分な効果が得られないこともあります。また、効果が現れるのは時間がかかるため、睡眠時無呼吸症候群の症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。

CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法装置)による治療法とは

CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法装置)ってどんなもの?

鼻マスクやエアチューブを装着し、鼻から気道に空気圧を送る装置です。陽圧をかけることで上気道が閉塞するのを防ぎ、気道を確保することができます。空気圧は調節することができるため、個人の状態に合わせることが可能です。CPAPは睡眠中常に使用します。

CPAPで治療するメリットとデメリット

メリットは、高い効果を得られるところです。CPAPは軽度から重度まで、ほとんどの睡眠時無呼吸症候群に対応できます。副作用がほとんどないところも魅力です。装置は1~3キロのものが多く比較的コンパクトなので、旅行にも携帯することができます。
デメリットは、慣れるまでマスクの装着感や音、空気圧が気になるところです。鼻やのどに渇きを感じることもあります。

マウスピース(スリープスプリント)による治療法とは

マウスピース(スリープスプリント)ってどんなもの?

専用のマウスピースを口腔内に装着し、下顎を前方に固定します。睡眠中に使用することで、舌の位置を調節して気道を確保し、無呼吸になるのを防ぐことができます。軽度から中等度の無呼吸症候群に対応可能です。

マウスピースで治療するメリットとデメリット

メリットは、装着するだけで手軽に利用できるところです。コンパクトなので携帯しやすく、管理も簡単です。
デメリットは、重度の無呼吸症候群には対応できないところです。また、歯に固定して装着するため、歯が少ないと装着しづらく外れやすくなってしまいます。慣れるまでは、装着時に口腔内の違和感を感じることもあります。

症状がある場合には医療機関を受診しましょう

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質を低下させて日常生活に支障をきたしたり、重篤な合併症を引き起こすおそれがあるため適切な治療が必要です。市販のいびき防止テープやスプレー、鼻にチューブを挿入する装置などを活用して改善しようとする方もいらっしゃいますが、あまりおすすめしません。自己判断で治療を続けると、治療に時間がかかったり、症状が悪化する恐れがあるため注意しましょう。早く症状を改善するには、専門医の検査と診断に基づいた治療を受けることが大切です。